クエスト2

赤点を回避せよ! (目標:5ターン)

なんとかスムーン学園落第を免れたイージ。
しかし、ほっとしたのもつかの間。次に待ち受けるのは、実力テストだった。
テストの内容は、スムーン学園定番のテスト、迷路の脱出。
幻影魔導師のテソットが作り出す迷路を、召喚した者と共に脱出するのだ。
イージは、いつも赤点で、一回で合格できた試しがない。
今回は、あなたの協力で、一回で合格できるだろうか?



参加キャラクター

クロハ・クローバー



2-1

 ここは、一人前の召喚師を育成するスムーン学園のマジカルホール。生徒のイージは、大変な落ちこぼれで、いつもばかにされていました。
「聞いたぜ、イージ! お前、フルンクの試練クリアしたんだってな!」
「やればできるじゃん!」
 しかし、先日、落第か否かを決めるテストに見事合格したイージは、クラスメートから見直されていました。イージも、照れながらも、褒められるのがまんざらでないようです。
「じゃあ、今日の実力テストも楽勝だよな!」
 にやにやしていたイージが、凍りつきました。どうやら、テストのことをすっかり忘れていたようです。
 スムーン学園で行われる実力テストでスタンダードなのは、迷路の脱出です。迷路に閉じ込められ、召喚に頼り脱出する……といったもの。
 実力テストは、テスト期間中、毎日一人行われます。テストを受けない生徒は、このホールの二階席で、テストを受けている生徒の様子を見てレポートを書きます。
 しかし、今日のイージは、レポートを書く必要がありませんでした。自分の番だからです。
 クラスメートたちが、二階席に上がっていきます。
 イージのもとには、二人の大人がやってきました。担任のテアーチ先生と、実力テスト担当のテソット先生です。
 テソット先生は、幻影魔導師です。相手に幻を見せ、そこに閉じ込める魔法を使います。幻影魔法は、テストに使われることも多く、どこの学校にも一人か二人は、幻影魔導師の先生がいます。
「じゃあ、幻影魔法をかけるわね。いい、イージ」
「はい、テソット先生……」
 イージは、元気なく答えました。イージは、このテストを一回で合格できた試しがありません。毎回迷子になり、放課後にテソット先生とテアーチ先生から個別指導されていました。
「イージ。フルンクの部屋で、見事校章を探し出すことができたんだ。今日はできるさ」
 テアーチ先生は、優しく励ましてくれました。イージは、少し自信を持ちました。
 テソット先生が、イージに幻影魔法をかけます。
 イージが再び目を開くと、そこには、テアーチ先生もテソット先生もいない、緑色の壁に囲まれた迷路が広がっていました。

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 イージは、早速召喚魔法を唱えました。
 出てきたのは、クロハ・クローバー。
「あっ、クロハ! また来てくれたんだね!」
 前回、フルンクの部屋で校章を見つけてくれたのも、このクロハでした。イージは、またクロハに会えて喜びます。
 しかし、今はテスト中。イージは、周囲に広がる迷路を示しました。
「この迷路から脱出したいんだ。力を貸してくれないか、クロハ」
 今の位置からは、左手と正面に道が開いていました。右手と後方は、壁です。



2-2

 クロハは、イージを示した後、左の道を示します。その後、自分を示し、正面の道を示します。
「二手に分かれようってことかな。うん、そうだね」
 そして、イージは左側の道を、クロハは正面の道を進むことにしました。
 二人は別々の道を歩くことになりましたが、どちらの周囲に広がるのも、代わり映えしない薄緑色の壁や地面でした。
 クロハがまっすぐ歩いていくと、やがて行き止まりが見えました。しかし、その手前で、右手側に道が開けています。その道は、入ってすぐまた右に曲がるような道です。
 正面は行き止まりのため、クロハは、右に進むことにしました。
 そして、道に沿って歩こうと右を向くと、その道の突き当たりに、何か丸いものがいました。その丸いものと、クロハの目が合います。
 クロハは、このイージの世界で、その丸いものを見た覚えがありました。前回イージの世界に召喚された時、常に近くにいて、遊んだこともあった生物。
 そう。丸いものは、いたずら好きの魔物、フルンクでした。
 クロハが何か行動を起こす前に、フルンクは慌てた様子で、突き当たり左にある道へと飛んでいってしまいました。
 クロハが、一歩を踏み出そうとした瞬間……。
「あーっ、クロハ、聞こえるー? こっち、行き止まりだよー! 僕もそっち行くからねー!」
 イージの大声が、響くようにして聞こえてきました。
 そういえば、迷路の壁は高くそびえているようですが、一体どれくらいの高さなのでしょうか。上はなぜか薄暗く、壁の全貌がわかりません。
 来た道からは、イージがこちらに向かって走ってくる音が聞こえてきます。

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2-3

 クロハは、走りました。突き当たり左、フルンクが飛んでいった道へ急ぎ、そのまま道なりに進みます。
 すると、その先に分かれ道があり、そこでフルンクを発見しました。
 フルンクは、クロハを目にすると、また慌てた様子で飛んでいきます。クロハから見て、分かれ道の右の道でした。
 クロハは、再びフルンクを追いかけます。
 フルンクは、クロハに振り向くことなく、どんどん奥に進んでいきます。クロハは、なんとかフルンクを見失わないように追いかけました。
 そろそろ疲れたのでしょうか。最初よりクロハのペースが遅くなってきた頃、前を飛んでいたフルンクは、ぴたりと止まりました。そこは、また分かれ道でした。
 今度の分かれ道は、正面と左に道が開けています。フルンクは、クロハの方へと振り向くと、すす……と、左側の道に行きました。
 しかし、今度は、慌てた様子も先に行ってしまう様子もありません。壁から半分ほど顔を見せて、クロハの様子を窺っているようです。クロハを待っているのでしょうか。
「あれー? クロハ、どこにいるのー? あんまりさっさと先に行かないでよー……」
 先ほどより若干遠くの方から、イージの心細そうな声が聞こえてきます。
「うーんと……、最初はまっすぐが正解だったし……、またまっすぐかな?」
 クロハは、フルンクを見つけ、追いかけてきましたが、イージの近くにはいないのでしょうか。頼りなさそうな声が迷路に響きます。
 クロハの目の前にいる、左の道からこちらを覗いているフルンクは、じっとクロハを見つめ、その場から動いていません。

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2-4

 クロハは、前に進みます。フルンクは、その様子をじっと見ています。
 フルンクの前まで来たクロハは、そのままフルンクのいる左の道へと向かいました。
「あうー……。こっちの道はずれだ……」
 イージの悲しそうな声が聞こえてきました。また行き止まりの道を選んでしまったのでしょうか。まだこっちに来るのには、時間がかかるのかもしれません。
 フルンクは、クロハの隣に寄り添いました。クロハのペースに合わせてくれるのでしょうか。
 クロハは、道を進んでいくことにしました。イージのと思われる、迷いながら走る音が、静かな迷路に響いています。
 フルンクが待っていた左の道。入ってすぐは左に曲がって、少し歩いて今度は右、また少し歩いてさらに右。
 すると、クロハの目の前に、あるものが飛び込んできました。壁です。
 歩みを止め、フルンクを見ますが、フルンクは全く表情を変えず、前を見たままでした。
 とりあえず、クロハは、前に進んでみることにしました。フルンクも、クロハの速さに合わせてついてきます。
 壁のすぐ前まで歩いてみました。近くで見ても、やはり、周囲と同じ壁のようです。
 クロハは、再びフルンクを見ました。すると、フルンクは、けたけたと声を出さずに笑って、そのまま真上に飛び、薄暗い中に姿を消してしまいました。
 袋小路に、クロハは一人取り残されます。
 イージのどたばたと走る音は、先ほどよりは近くから聞こえていました。

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2-5

 クロハは、フルンクの消えてしまった上を見つめると、目の前の壁に向き直りました。そして、一回ジャンプして、両手を壁の上の方につけてみました。どうやら、壁をよじ登るつもりのようです。
 しかし、クロハは、はっとしました。そのまま、なんとか両手に力を込めて、壁をよじ登ります。
 すると、もう壁のてっぺんに着くことができました。壁の上から地面を見ても、もちろんそんなに高くありません。壁は、クロハの身長より、少し上なだけだったのです。
 クロハは、落ちないように気をつけながら壁の上に座り、きょろきょろと辺りを見回します。フルンクは、いません。また、壁より上は、やはり薄暗く、よくわかりません。
 しかし、この壁だけに留まらず、迷路の壁は全て低いらしく、上以外であれば、辺りの様子がよくわかります。
 クロハは、右の方にフルンクがいることに気づきました。ちょうど今の壁を越えて、右に行けばフルンクに会えます。
 クロハが壁を下りようとすると、右の後ろの方から、走る音が聞こえてきました。
「フルンク!」
 イージです。フルンクの前まで走ってきます。
 フルンクは、イージをじーっと見ています。フルンクが今いる場所は、十字に道が分かれています。
 フルンクは、イージに背を向けると、そのまま少し進み、止まりました。振り返って、イージを待っているかのようです。クロハの時と同じでした。
「もしかして……、これもテストなのかな?」
 イージは、左右の道を見ました。イージから見て右の道は、すぐ行き止まり。左の道は、正面は行き止まりですが、その手前でまた道が見えます。なお、クロハは、左の道の突き当たり左の壁にいます。
 一方、フルンクが示す正面の道も、道は開けているようですが、イージはフルンクを少し疑っているようです。
 イージもフルンクも、壁の上からその様子を見ているクロハには、気づいていません。

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2-6

 クロハは、壁から落ちないように気をつけながら、もう一度辺りを見回しました。そして、壁の上に乗ったまま、移動を始めました。クロハは、少し左に寄った後、正面に続く壁を進みます。
「……何の音?」
 そろそろと、クロハが壁の上を歩いている音に気づいたのでしょうか。イージは、辺りを見回しました。
 イージは、フルンクを見ましたが、音がしたのは、イージの左側です。フルンクは、じーっと、表情すら動かさず、イージを見ています。
「……クロハかな」
 イージは、フルンクが気になるようでしたが、音も気になるのか、やがて左の道へ走り出しました。
 一方、クロハが進んでいる壁は、道幅四つ分ほど進んだ先で、左に曲がっていました。クロハは、曲がり角まで来ると、壁の流れに沿って、左を向きました。
 すると、壁を下りた道の向こう、これまでの道とは違う、光輝く道が見えました。その道は光で満ちており、全く先がわかりません。
 壁は、また左に続いていますが、このまま進むと、最初に壁を登ったところに戻ってしまいそうです。
 壁を下りると、正面の光り輝く道の他、左に普通の道があります。後方にも道はありますが、おそらく、イージたちがいた場所と繋がっているだけの道です。
「クロハー! いるのかいー?」
 クロハがふと後ろを見ると、イージがクロハを呼びながら、急いでこちらに向かっているのが見えました。フルンクの姿は見えません。

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2-7

 クロハは、壁を下りました。
 すると、クロハが壁を移動してきた方の道から、イージも姿を現しました。
「クロハ! よかった、無事だったんだね」
 ほっとしたように、クロハに駆け寄るイージ。クロハは、あの光り輝く道を示しました。
 目の前の、光に満ち溢れた道を見て、イージの目が開きます。
「あれ、ゴールじゃないかな! すごいや、クロハ!」
 イージは、早速大喜び。すぐにクロハの手をつかむと、光り輝く道へ駆け出していきます。クロハは、若干戸惑っていますが、イージに連れられ、一緒に光の中へ消えていきます。
 あまりのまばゆさに目を閉じ、二人が再び目を開くと、テアーチ先生とテソット先生がいました。辺りを見渡せば、もう迷路は見えません。イージは、クロハと共に、マジカルホールに戻ってきたのです。
「今回もまた、前回より簡単にしたんだけど……、やはり、まだスムーズにはクリアできないようね」
「でも、すごいじゃないか、イージ。いつも迷ってしまうのに、迷路を脱出できたんだから」
 テソット先生は呆れ顔でしたが、テアーチ先生は、感激している様子です。そんなテアーチ先生を見て、テソット先生も笑みをこぼしました。
「まあ、イージにしては素晴らしい結果よ。おめでとう。実力テスト、初の一発合格ね」
「やったあ!」
 イージは、満面の笑みを浮かべると、クロハに向き直り、クロハの両手をつかみました。
「今回もクロハのおかげだよ。ありがとう!」
 イージは、嬉しさのあまり、クロハの両手をぶんぶんと上下に振りました。大げさなくらいの感謝を、クロハもわかってくれたのでしょうか。やわらかい表情で、イージを見ています。
「またクロハが、イージのもとに来てくれたんだね。キミのおかげで、イージも成長できているよ。私からもお礼が言いたい。ありがとう」
 クロハにとっては、前回校章を探した時にも会った、テアーチ先生。あの時もテアーチ先生は、クロハに感謝していましたが、今もまた、改めてしています。
 二階席でイージのテストを見ていたクラスメートたちも、イージがちゃんと迷路を脱出できたことを喜んでいるみたいです。
「本当にありがとね、クロハ!」
 イージとクロハ。二人の主役が拍手で称えられて、イージの今回の実力テストは、無事合格で終わりました。

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END



結果

クエストは成功!
クロハの活躍のおかげで、イージは、実力テスト赤点を免れることができました。

  • 最終更新:2017-06-03 09:02:05

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